脳幹出血【第51話】▶︎ 患者から友達へ

 第12話に書かせていただいた「食堂の日替わりランチ」。

https://873873.hateblo.jp/entry/2019/04/17/194335

回復病院に入院していた時に

ジローくんが毎日「食べたい、食べたい」と夢に見ていた病院の食堂。

この病院を退院する時に

ジローくんは言語療法士のKami先生とある約束をしていました。

'' 軟食を卒業してなんでも食べられるようになったら

　この食堂で一緒にランチしましょうね ''と。

退院から２年たったある日

ジローくんはふとこんなことを言い出しました。

「Kami先生の顔が見たいな〜。あの病院のランチ一緒に食べたいなぁ。」

私はその言葉を聞いてKami先生のプライベートメールに

「ランチをご一緒しませんか？」とメッセを送ったところ

「私もジローさんがどうしてるかなって思っていたところです。

　ぜひご一緒にランチしましょう！」と快い承諾のお返事が。

そのお返事からの数日間、

ジローくんはランチに行く日を指折り数えて毎日を過ごし

やっと迎えた約束の当日。

朝起きて私はジローくんに尋ねました。

「ゆうべはよく眠れたかい？」

「楽しみで興奮して眠れなかったよ」とジローくん。

やっぱり思った通りの答えw

そそくさと支度をして車に乗り込み病院の食堂に向かう私たち。

途中でコンビニに立ち寄ったら

なにやら見覚えのある車が私たちに近づいてきて

運転席には週３回、ジローくんの鍼治療で我が家に訪問してくださる

鍼灸師の先生が運転席の窓から手を降っていた。

「今日の夕方、また伺いますからねぇ〜！」と元気いっぱいの明るい笑顔。

病院には約束の時間より30分も早く到着してしまったw

待合でkami先生を待っていると

たまたまそこに主治医の先生が通りかかって

「あれ〜？今日受診だっけ？どうしたのー？」と声をかけてくださり

職員さんにも

「ジローさんがんばってるねえ！これからも頑張ってね」と

暖かいお言葉をいただき

ジローくんと同じ頃に入院をして

今もこの病院に入院中の患者さんのお友達が私たちのところにやって来て

「今日ジローさんが来るって聞いてたもんで会いに来たんだよ」と

声をかけてくださった。

なんだか同窓会に来たみたいな暖かい気分。

そしてKami先生とお約束の時間。

夢にみた食堂でのランチ。

食堂に入ってまず思った事なんですががが、、

このブログに書いた12話の食堂のおばちゃん

まったくもっておばちゃんじゃないやんかぁ〜〜！

お顔をみると全然若いしっっw

なんであの頃おばちゃんに見えたんだろっっ？w

食堂＝おばちゃんのイメージが強かったのかなぁ？？

食堂のおねえさん、ごめんなさい（汗

私とジローくんはカツ定食を注文し

想像していた通りの家庭的なあたたかな味がして

とても美味しぃ〜〜！！　ジローくんも大満足。

食堂の''おねえさん''も私たちの事を覚えていてくださって

とても喜んでくださり、

お料理のあたたかな味はおねえさんの心の味だったのかもしれません。

あの頃は大変だったね〜とKami先生と入院当時の思い出話に花が咲き

楽しい時間があっという間に過ぎて

帰り際にKami先生が私たちにこんな事をおっしゃった。

「もうジローさんは患者じゃないですから。これからは  ''お友達'' だから

　またランチご一緒しましょう！」

おおお〜、Kami先生の患者を卒業できたジローくん。

おめでとう〜〜！！

Kami先生に見送られ病院をあとにし、

帰りの車の中でジローくんが私にこんな事を言いました。

「病気になったのは大変だけれど、病気にならなければ

　Kami先生や病院の人たち、鍼の先生にも出会えなかったよね。

　病気になって悪いことばかりじゃなかった。

　今は、みんなに出会えた事が良かったと思っているよ。」

うんうん、本当にそうね。

星の数ほどいる人と人生の中で出会えるのはほんの一握りで

その中での出会いはきっかけが作るもの。

そのきっかけが病気だったとしても

心が通いあえる素晴らしい人との出会いが生まれたら

それは人生の宝物です。

この出会いを大事にしながら

これからも私はジローくんと時間を大切にして

毎日を生きていきたいと思った１日でした。

ところでジローくん、12話の食堂の看板はどうなったのよw

はやく作りなさいよぉ〜w

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【花実&ジローの紹介　脳幹出血▶︎第１話】

★https://873873.hateblo.jp/entry/2019/04/08/100213★

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