脳幹出血【第２話】▶︎ ICUでの出来事

 お話は２年前のジローくんが急性期病院のICUに入っていた頃にさかのぼります。

脳幹出血で倒れて意識不明になったジローくんですが

脳幹という部位は手術不可能で血圧を下げる点滴をしながら

経過観察するしかないとのお医者様のお話。ますます絶望的......。

その後しばらくICUでの見守り状態となります。

このICUという場所には１０列くらいベットが並んでいて

重病な見守り患者さんがジローくんの他にも入院されているのです。

よって面会時間は1日１５分だけ.......（ ;  ; ）

１５分の間、必死にジローくんに声をかけるものの、問題がががw

私たち夫婦は名前で呼び合っているのですが

時とともに呼び名が変化する癖（？）があって、

例えば　ジロー　→　タロー　→　たろろ　→　ロロ　→　ちろろ　みたいに

変化をとげてしまうのですっ！

しかも、本名の原型がまったく無いほどの変化っっw

ジローくんが倒れた時の呼び名は　ちろろ　でして.....

意識不明のジローくんに私は

「ちろろっっ！！！聞こえる？目をあけて〜〜」みたいな

とんでもない意味不な呼びかけにっw

看護師さんやお医者様が、ちろろって誰や？みたいな目で見るしぃ〜（汗

でもこっちは必死なのですよ。

なんとしても意識を戻したい一心でひたすら「ちろろぉぉ〜〜目をさませー！泣」と

呼びかける始末w

まさかこういう状況になるとは想像してなかったからなぁ〜〜。

ジローくんが倒れる前に「車欲しぃ〜ポルシェ買ってくれぇっ」て

騒いでた事を思い出して

「ちろろっ　ポルシェ買ってやるから目を覚ませっっ！！」

とやけっぱちで声をかけるわたしっw

.........その後、長い長い眠りから目を覚まし

意思の疎通ができるようになったジローくんの第一声は、、

「そういえばさ 、、、ポルシェ買ってくれるって言ってたよね？

　いつ買ってくれるんだよっっ　はやく買ってくれ！」

　　　　　　　　　　　　　　　　。。。　　　　　　　　　

その言葉 、、聞こえてたのかぁぁぁ〜〜！と驚きを隠せなかったのは言うまでもないw

三途の川の手前まで行ったくせにぃ〜〜

ポルシェが欲しくて帰ってきたジローくんっ。

物欲がこの世に彼を引き戻すという悲しい現実っw

　　　　　　　　　　　　　　　　 。。。

さて、ここからは真面目なお話。

脳出血などで意識不明になると聞こえているのか？聞こえていないのか？という

疑問がわきます。

ジローくんは私たちの声をちゃんと聞いていて

覚えていたんですよね〜。

音楽療法がいいと聞いたので好きな音楽を意識不明の間毎日きかせていたら

「毎日同じ音楽ばっかりかけやがってぇぇ〜〜！

　聞き飽きたわっっていつもおもってたぞ」だってっっw

こっちは必死だったのにっ　（泣

まわりの患者さんに迷惑にならないようにヘッドホン使って必死に毎日音楽聴かせて

時には音が漏れて看護婦長さんに

ここをどこだと思っているんですか？!  と怒られ.....泣　ううう

そして時々ジローくんはとても呼吸が苦しそうで　

は〜っは〜っとかなり荒い息をして苦しんだ事もあります。

ところがご本人はこの苦しみをまったく覚えていない！

風邪をひいて熱があって病院に来てるのかなと思っていたそうです。

脳幹出血を風邪と勘違いしているジローくんっw

お医者様もこの発言には苦笑いしたものの

なるほど〜〜っと少しびっくりしたご様子でした。

手を握って声をかけてあげるってとっても大事な事なんです。

ちゃんと手の温もりも話しかけた内容もジローくんは覚えていました。

人は亡くなる前には〜は〜と荒い息をして苦しそうな事がありますが

もしかしたらジローくんが体験したように

脳の機能が働いてその苦しみを

苦しんでいる人に感じないようにしてくれているのかもしれません。

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【花実&ジローの紹介　脳幹出血▶︎第１話】

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