花実&ジロー

ジローくんの脳幹出血発症から歩けるようになるまでのレポートと介護やリハビリに役立ったグッツなどもご紹介いたします!

脳幹出血【第17話】▶︎ はじめて泣いた日

ジローくんがいつものようにスピーチバルブ装着で

言葉の発生訓練をしていた時の事。

ジローくんが言語療法士のKami先生に尋ねた。

 

「この声質、もとの声に戻りますか?」

 

確かに、ジローくんの声質は元気だった時の声とは別人で

スピーチバルブ装着のせいか機械的で壊れたロボットのような声が出ている。

私はスピーチバルブを通じて発声しているので

当然今だけこういう声質なのだろうとなんの疑問も持たずに見守っていたのですが

Kami先生から思いがけないお言葉が......。

 

「あれ?花実さん、私はジローさんのお元気だった時の声を知らないのですが

 今の声と違うんですか???」

 

私はすかさず、「え? 全然、、まったく違いますよっ。」と答えた。

その後Kami先生はしばらく沈黙され、なにやら混乱しているご様子。

 

そしてKami先生が重そうな口を開きこうおっしゃった。

「スピーチバルブの装着によってその影響で声質が変わるという事は

 原理的にありません。

 今出ているジローさんの声が元気だった頃と違うのであれば

 麻痺等が残っていて声質が変わってしまったのかもしれません。

 バルブが抜けたとしても今発声している声が

 これからのジローさんの声になる可能性は高いです。」

 

そのお話を聞いてたジローくんはとても動揺して大きなショックを受け

「だめです!だめです、先生!こんな声じゃ絶対にダメです!

 こんな声で生きていくなら死んだほうがマシですっ」。。。

 

確かに、ジローくんの声は酷かった。

機械の雑音のような低くて、壊れたロボットのような声.....。

 

......その後、ジローくんは泣いた。

病気になってから、人の優しさに触れて嬉し泣きをする事は何度もあったけど

自分の体のことで泣いた事は1度もなかったのに。

 

私はKami先生にその日の訓練を中断してもらって

お部屋にふたりきりにしてくださいと頼み、Kami先生はそっとお部屋を出た。

 

そしてその後2人で大声を出して子供のように

うわぁぁぁ〜〜〜〜んっ!!えーーーーーん!!!!  といっぱい泣いた。

こんな時、ジローくんに頑張れと言えない。

ジローくんは精一杯頑張っていてこれ以上頑張れなんて

......とても言えない......。

この時私は、一緒に涙が枯れるまで泣く事しかできなかったのです。

 

2人で泣き疲れた頃、ジローくんが

「あのさ、なんで俺よりも花実の方がいっぱい泣いてんの?

   泣きたいのは俺だぞーー!」

その時のジローくんは表情はなにか吹っ切れたような感じで軽く私に微笑んでいた。

 

「明日もまたいっしょに訓練をしにここに来るから、、朝早く来るからね!」

と言って私はその日、足取り重く家に帰った。

 

次の日、何事もなかったようにジローくんは

言語療法の訓練に取り組んでいました。

 

私たちは ''治らないかもしれない''  というネガティブな感情は捨てて

目の前のできる事だけに目をむけて進んでいこうという方向に頭を切り替えました。

切り替えたその後は

小さな動作が出来るようになる度、それが大きな喜びに変わり

毎日笑って過ごせるようになりました。 

 

はじめて泣いた日から2年後の今

あれから1度も私たち夫婦はこの病気の事で涙を流していません。

 

そして、今のジローくんの声はロボットの声ではなく

私が昔からず〜と聞き慣れたジローくんの

ちょこっと風邪をひいたときの ''軽い鼻声'' まで回復しているのです。

 

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入院期間中、ジローくんの脳の活性化の為、TV視聴が大事な訓練の一つでした。回復期の病院では月額500円でTVが見放題だったのに対し、急性期病院では数十時間1000円のTVカードを購入せねばなりません。これが非常にお高い。眠っている脳を呼び覚ます為に必要なTVの音源ですがお金がかかるので、このような場合はポータブルTVを買ってしまった方がお得です。 

【花実&ジローの紹介 脳幹出血▶︎第1話】

https://873873.hateblo.jp/entry/2019/04/08/100213

 

★脳幹出血のご家族がいてお悩みの方がいらっしゃったら

 uedahanami@gmail.com  までご連絡くださいね。

 経験した範囲のアドバイスはできるかもです。★